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2009年6月 9日 (火)

利用者満足度に関するアンケート調査 (平成21年6月)

利用者満足度に関するアンケート調査 (平成21年6月)
法務省の調査対象者に選ばれなかった司法書士の意見

http://www.eonet.ne.jp/~nnn2005/online/901.html

法務省は、2008年(平成20年)度最適化実施評価報告書に利用者満足度の実績値を記載するため、利用頻度の高い資格者代理人(全国の司法書士会からそれぞれ6名に依頼)に対し、アンケート調査を実施。(調査時期:平成21年6月上旬)

下記意見は、「調査対象者に選ばれなかった司法書士の意見」を集計したものです。
意見を提供していただけ方は、
調査用紙 に記入してメールで提供(送信)してください。

利用者満足度に関するアンケート調査

1 目的

登記情報システムについては、登記情報システム業務・システム最適化計画において、その最適化効果指標として、「利用者満足度*」が掲げられています(2008年度から目標値が設定されており、2009年度の目標値は60%)。

そこで、2008年(平成20年)度最適化実施評価報告書に利用者満足度の実績値を記載するため、利用頻度の高い資格者代理人に対し、アンケート調査を行うものです。

*利用者満足度:「満足」と回答した回答数/全有効回答数×100

※利用頻度の高い資格者代理人を対象とする

2 期間

平成21年6月上旬

3 対象資格者代理人(各300人)

・登記情報システム:全国の司法書士会からそれぞれ6人に依頼

4 内容

登記情報システムの最適化計画によるサービスの向上策について、利用者においてどの程度満足しているかを調べるアンケート調査

5 質問

問1 あなたの年齢をお答えください。

①20代 ②30代 ③40代 ④50代 ⑤60代以上

回答〔 ③ 〕

(登記情報システム)

問2 登記情報システムの最適化計画を実施することにより、インターネットを利用した登記申請等の環境などが整備されましたが、それぞれのサービスの拡充についてどのように感じていますか。

(1)登記情報提供サービス

インターネットを利用して、最新の登記記録を閲覧することができるようになりましたが,このサービスについて満足していますか(手数料の点を除く。)。

①満足 ②やや満足 ③やや不満足 ④不満足 ⑤利用していない

回答〔 ④ 〕

③及び④とお答えいただいた方は,その理由を簡潔にお書きください。

   別紙1のとおり

(2)オンラインによる登記事項証明書の送付請求(交換サービスを含む。)

インターネットを利用して、登記所に赴くことなく登記事項証明書の送付を請求することができるようになりましたが、この制度について満足していますか(手数料を除く。)。

①満足 ②やや満足 ③やや不満足 ④不満足 ⑤利用していない

回答〔 ④ 〕

③及び④とお答えいただいた方は,その理由を簡潔にお書きください。

   別紙2のとおり

(3)オンラインによる登記申請

平成20年度において、すべての登記所で書面による登記申請に加えて、オンラインによる登記申請が可能となりました。オンラインによる登記申請の導入の前後を比較して、登記所に対する申請のしやすさに満足していますか。

①満足 ②やや満足 ③やや不満足 ④不満足 ⑤利用していない

回答〔 ④ 〕

③及び④とお答えいただいた方は,その理由を簡潔にお書きください。

   別紙3のとおり

問3 今後の利用環境の拡充を図るための参考としたいので,次の質問にお答えください。

(1)具体的措置について

登記情報提供サービス、オンラインによる登記事項証明書の送付請求及びオンラインによる登記申請について、更なる利便性の向上を図るためには、どのような措置を講じることが必要と考えますか。

   別紙4のとおり

(2)手数料について

登記情報提供サービス及びオンラインによる登記事項証明書の送付請求について、適正な手数料額はいくらだと考えますか。

       登記情報提供サービス(全部事項) 24時間365日いつでも、無料(1件)

ただし、利用登録費として月5,000円程度

あとは使い放題。

② 登記事項証明書の送付請求     200円(1件)


別紙1 登記情報提供サービスの満足度に対する意見

1.            毎月10万円以上利用してるのに、いくら言っても24時間体制にならない。

いつでも、どこでも、だれでも、少なくとも国民の、国民のためのデータを利用するのに、なんで時間制限があるのか、理解できない。

2.            一物件ずつしか請求できない。地図なり公図データを示して、その地番をクリックすれば、物件を指定できて、その情報が一括して、取得できるようにすればよい。

3.            間違って操作して、慌てて×(取消)しても、間に合わず課金される。

4.            利用の明細が3か月分しか記録保存されない。

(アマゾンなど一年は保存されている。確定申告等に利用できるようにしてほしい。)

5.            照会番号の利用範囲が限定されていて、利用価値がない。

6.            国民の、国民のためのデータを利用する料金が、どのように設定されたのか?理解できるように説明してほしい。もともとこの登記のデータは国民が申請して作りあげたデータである。国は、国民が作った国民のデータを、単にデジタル化しただけに過ぎない。デジタル化の作業と保守管理する費用だけで、年間どれくらいの利用料金が入っているのかしらないが、心が痛まないのか?登記するときに登録免許税をとり、登記事項証明書をとるときにもお金をとり、さらに閲覧利用するときにも料金を取るのは、取りすぎではないのか?費用対効果を示すべきだ。

別紙2 オンラインによる登記事項証明書の送付請求の満足度に関する意見

1.            毎月20万円~30万前後利用しているのに、申請が5時間際だと、きちんとその日に処理できる登記所とそうでない登記所があるのは、極めて不適切な対応だ。

   せっかく地元で窓口受領できるようになっても、金曜日だと翌日取りにいけな 

  いので、わざわざキチンと当日処理する隣の登記所に申請して、土曜に郵送され 

  るようにすることがある。

2.            要するに、書面申請だと5時間際に登記所にいけば、その日に処理して受け取れるのに、オンライン申請だと、その日に処理して受け取れないのは、せっかく700円に割り引いたところで、オンラインのメリットがない、ということの証しだ。逆に言えば、取りに来てくれている人から高く取っているのは、当日処理して「あげる」から、ということになると、当日処理が原則であるのに、サービスになってしまう錯覚を持たせることになる。当日処理をサービスにして売りつけるための、オンライン申請は極めて不適切だ。

3.            一部請求ができない。登記情報サービスの順位番号をクリックして指定すれば、必要な一部事項証明が取れるようにすればよい。

4.            申請書をつくって送信するというシステムは、やめるべきだ。

  登記情報サービスの画面に「証明書請求」ボタンを一個つけるだけで、ずいぶん    

  簡単になる。

5.            数件の申請をまとめて納付できる(たとえばアマゾンのカートのような)システムに変えるべきだ。クレジットカード利用も検討しても良いと思う。

別紙3 オンラインによる登記申請の満足度に関する意見

1.オンライン申請可能時間中(午前8時半から午後8時まで)にもかかわらず、登記情報サービスから物件検索をしてデータを引っ張ることができない(午後7時まで)のは、不適切なシステムだ。合理的な理由を示すべきだ。

2.いくらやっても添付書類を別送する手間があるかぎり、利用率は上がらないことは、e-taxで証明されている。添付書類原則保管(任意提出)にしたからこそ、e-taxは利用率が爆発的に伸びたのである。登記申請がどれほど特別なものなのかしらないが、添付書類を別送するどころか、申請の際にも登記原因証明情報のPDFを必須添付しなければならないのは、実例を無視したやり方である。

3.しかも、登記原因証明情報が官公庁発行の証明書のものは添付省略ができて、当事者作成のものは省略できないとする取扱いは、利用当事者を信用していない証拠であるから、国民が、信用されない制度やシステムを利用するわけがない。

4.            登記原因証明情報PDF添付は「空申請の防止」というが、その趣旨はわからないではないが、すくなくとも、申請当事者の間に、「登記専門の資格者」である司法書士や土地家屋調査士が関わっているときには、これを利用当事者だけの申請とは別の要素(倫理)が働いているのだから、添付書類の別送やPDF添付などは不要にしていいはずだ。

5.            ためしに、添付書類を省略する構造に変えてみれば、利用率に変化が見られるはずだ。半年でも3ヶ月でも、実験してみて、それで不都合があるようなら、また元に戻せばいいだけのことだ。やりもしないで、頭ごなしに「だめだだめだ」では、やる気もうせる。

6.            もし、添付書類を省略しても、不真正な登記など登記事故がおこらなければ、そのほうが登記所にとっても国民にとっても、利用負担が減るのだから、登記識別情報などという添付情報も不要にしていいはずだ。

7.            そもそも、書面申請の構造を、電子化したふりをして「○○情報」などといって置き換えればいいというものではなく、電子申請は、電子申請なりの構造を一から構築していくべきである。

8.            たとえば、登記済証を電子的に分解すると、本人確認については登記識別情報になるという発想そのものが間違っている。登記済証によって、担保されるものは、本人確認だけではなく、登記申請意思も確認できるし、登記妨害からも一定程度確保され、それだけ登記の真正性が確実になっているのである。そういう複合的な機能を、分断すれば、隙間が出るわけであって(1を3で割れば、デジタルでは3.3333・・・になってしまい、3つ足しても1にはならないということ)、そうであれば、複合的な機能を複合機能として埋められる制度にしなければならない。そのひとつの方法として、電子社会では、そのために「資格者をフルに活用する」ことが必要になってくるのである。

9.            書面申請の審査構造を変えることなく、電子申請のシステムをつくっても、電子化できるものと電子化してはいけないものがあるのだから、当然に不都合がでてくる。その不都合をうまく柔軟にうめるためにも、電子化してはいけないところは、電子化しないで、国民の知恵である「資格者」を活用すればいいのである。資格というものは、国から国民のためになるように認定されものであると同時に、資格者は国民のために働かねばならないのだから、「国民が」国民のために働くように資格を与えたものだ。だから、国や国民は、資格者を活用すれば、あらたに無駄な税金をかけることなく、国民の力で、国家の不都合を解決することができるのだから、政府にとってこれほどいいことはないはずだ。

10.国の制度やシステムを、国家のためのものだという発想をかえて、「国民のためのものだ」という発想に転換すれば、よいものが出来ると思う。

別紙4 今後の利用環境の拡充を図るための意見

1.しょっちゅうアンケートやパブコメをしているが、その集計した結果をどのように評価して、改善に役立てているのか?その改善過程までの工程が見えないので、単なるガス抜きにしか見えない。

  

2.これまでの意見をどこで、どのように反映したのか?

  どれだけ反映して、どれだけ反映できないのか?

  また反映できない理由はあるのか?その理由はどのようなものか?

  など、意見を集めた責任を果たすべきだ。

3.IT戦略本部でも、同じようなパブコメをしているが、たとえば、

  6月9日締め切りの

「電子政府ユーザビリティガイドライン(案)」に関するパブリックコメントの募集について http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/guide_line/pubcom.html

6月19日締め切りの

「デジタル新時代への戦略(案)」に関するパブリックコメントの募集についてhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kongo/090605/090605comment.html

など、の資料データをみれば、どこがどう問題なのかが、すでにわかっているのだから、

まず、改善してみてその結果が出てから、またアンケートなりを取るのが筋ではないのか?

4.いつまでも完全できないのであれば、改善できない理由を示すべきであって、そのままの状態でいいのか悪いのかを示し、良いのであれば、その理由をのべて、いつまでなら改善可能であり、予算はいくらかかるなどの工程を示すべきだ。

  逆に、改善できないままでは悪いのであれば、直ちに、代替手段を設けるとかそれまで凍結 

  するとか、すっぱり外務省パスポートのように廃止するとか、その費用対効果を示して、代

  替するよりも廃止してやり直すほうが遠回りでも、全工程から見れば得策であるならば、そ

  うすべきだ。

  ただし、改善すると公的に約束している、いないにかかわらず、改善できないまま「放置さ 

  れている期間が、一年以上」に渡る場合には、これに理由があろうがなかろうが、いくらな  

  んでも「行政の不作為」であるのだから、まず凍結して元に戻すか、廃止すべきだ。

5.電子政府全体のコンセプトの見直しも継続しつつ、個別の制度やシステムの改善については、ひとつずつ問題点を解決して、解決ができてから、次のアンケートやパブコメをするようにしていかないと、どんどん積み残しの課題が増えていくばかりだ。なんどもなんども同じようなアンケートをしていると、「電子政府のワークシェアリングか!」と国民から非難され、世界から笑いものにされることであろう。