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2010年2月

2010年2月19日 (金)

私権の保護のために。 (「登記が頭」って、なんだ!?)

(再録?)私権の保護のために。 2009年06月03日19:37
埼玉会における日司連役員候補立会演説会 資料
http://cid-40af2084ec7d6699.skydrive.live.com/browse.aspx/090603NSR-tachiaienzetsu
会長候補音声
http://cid-40af2084ec7d6699.skydrive.live.com/browse.aspx/NSR-kaichoukouhoshoshin-onsei
理事候補音声(都合により割愛ー個人的にご相談ください)
質疑応答(都合により割愛ー個人的にご相談ください)

1.やはり争点は、会則改正(本人確認記録保管問題)か?なんのためのデータセンター構想か、わかってないのか?たぶん、一生わかってもらえないのかも。
 なぜなら、一見、個人情報保護法についての考えが違うからか?と思うが、むしろ、そもそも、近代市民法における登記制度の役割についての考え方の違いがあるのかもしれないと思うから。
 数年前、どこかに<b>「頭が登記」</b>という発言を目にした。
これに象徴されるように、<b>登記の仕事を、「単なる代書的な仕事」、「機械的にパターン化された補助者でもできる仕事」</b>だと思い込んでいるから、司法書士ごときが本人確認の記録をとったり保管したりするのは、おこがましいという発想になるのではないのか?(まあ、そう思う人は、そういう仕事をして、じゃんじゃんお金を稼げばいい。どうぞご自由に。)

2.でも、私自身は、登記ってのは、そんな甘いもんじゃないと思う。もっと有難い、もっと遣り甲斐のある仕事なんだと思う。だから、ここ数ヶ月、登記制度の発祥から、仲間の協力を得て、少しずつ古い文献に目を通してきた。

 たぶん、日本の登記制度の発展については、
福島正夫先生の「旧登記法の制定とその意義」
清水誠先生「わが国における登記制度の歩みー素描と試論ー」
いずれも日司連編『不動産登記制度の歴史と展望(不動産登記法公布100周年記念)』(有斐閣、昭61)が秀逸だと思う。
 また、新谷正夫先生「登記制度の変遷」(登記研究100号、昭31)
渡辺洋三先生「登記簿と台帳の一元化問題」(ジュリ175、昭和34)
同 先生 法社会学研究4「財産と法」(東京大学出版会、1973)より、「ふたたび登記簿と台帳の一元化問題について」(初出:ジュリスト198号・1960年)
「附-不動産登記制度の歴史とその社会的背景」
(初出:法学セミナー1972年12月号)
もまた必見だと思う。
 おなじみの鈴木禄弥先生の「物権法講義(五訂版)」(創文社)をはじめとする数々の論文もまた、いま読んでもなるほどと思うものばかり。
 あとはNHKスペシャルも。http://www.nhk.or.jp/special/onair/050514.html
2005年5月14日NHKスペシャル
「明治 第三集 税制改革、官と民の攻防」
≪参考文献≫『地租改正の研究』福島正夫(有斐閣)ほか。
アマゾンでDVDも売ってます。NHK出版から書籍も販売しているらしい。

 こういうところからみると、明治の近代化における登記制度は、いかにして速やかに税金をとるために検地もせずに、地券を与えることで、いい加減に済ませてきたかがわかります。だから、戸長がいいかげんな公証をして、登記事務が懈怠してしまったのです。ここに、登記が、効力要件から対抗要件になってしまった一端がある。

3.しかし、諸外国では、フランス法の公証人にしても、ドイツの登記判事にしても、近代市民法の究極の理念である<b>「私権の保護」</b>のために、登記制度ができていたわけであって、その意義を抜きに、日本の登記制度を考えることは、日本をいまだ近代国家として認められていないことを自白することになる。
 だからこそ、いま登記制度の意味を考えるときに、<b>「私権の保護のため」</b>にこそ、いままで先輩司法書士が数々の苦労をしながら登記を担ってきた歴史を踏まえて、官に頼ることなく、自分たちの手で、国民の力になっていかねばならないのだと思う。そのための第一歩として、登記立会記録の保管があり、データセンター構想があるのだと理解している。

4.私は、個人情報の保護がいかにあろうとも(個人情報保護法の濫用には頑として対抗すべきであって)、これを守るべき利益よりも、将来の国民の「私権の保護」のために、登記法における登記確認記録は永久保存されていかねばならないと思う。
 なぜなら、官による30年保存の規則改正があったとはいえ、それは官のための理屈であって、司法書士会の要望でなされたわけではないからである。官と銀行の間で、司法書士の頭を通り越して勝手に決めた保存期間を、司法書士が黙って追随すべきものではない。30年たったら、あっというまに廃棄される制度で良いわけがない。

 しかも、本人確認記録の問題で言えば、司法書士の管理下にあるものと、官に保管されているものとでは、いついかなる理由で、本人確認記録が官憲の目にさらされるというのかわからないではないか?本人確認記録の反対派は、その点をどのように説明するか?
 もっといえば、登記原因証明情報を本人確認外の情報と一体化させるというが、単なる添付書類にすぎないとされるものが、官の元にあるということは、保護されるべき個人情報も官の目にさらされるということになる。このことは確認記録の二次利用の反対とどのように整合性をとるのだろうか?
 私も、登記原因証明情報との一体化には反対するものではないが、それは、「私権の保護」の目的上、登記制度を利用する国民は、登記制度の権原情報調査に利用される限りにおいて、個人情報の二次利用をオプトアウトしていると考えられるので、司法書士の本人確認記録保存保管についても、許容されるものと理解している。
 このことによって、官憲の目にさらされることがあってはならないのであれば、あえて、官の保管に任せてそのような危険を冒すことなく、司法書士の手で保管をしていくのがよほど理にかなっている。

5.明治の検地が、官の勝手な都合のよい理屈でおこなわれなかったように、官の制度に任せきりにしていたのでは、いつまでたっても民間主導の制度はできあがらない。
 国家の情報は国民のための情報であって、これまでも国民の民主導で形成されてきたように、国民の手で形成しなければ、いつになっても官主導になってしまうのである。
 だからこそ、この百年に一度の転換期にもまた、司法書士という民間主導で、登記権原証明にたる将来のためのデータセンターをつくるべきではないだろうか?そのための第一歩として、会則改正そして司法書士法の改正がある。当然、官主導の登記識別情報制度を残している不動産登記法も改正しなければならないのだが。

2010年2月14日 (日)

「東京・名古屋」が、「札幌・さいたま」に負けた?

加除出版は一発回答800問?は改訂か?御用雑誌テイハンはどう対応するのか?

KJ

投稿日時: 2010-2-12 16:59
レベル3
登録日: 2005-4-11
/愛知
投稿: 45
本人確認情報の提供について
 本人確認情報を作成する際に確認する登記義務者の所持する資料について、不動産登記規則第72条第2項第3号の書類として、登記義務者の住民票と印鑑証明書は、いずれも相当で無いと名古屋法務局から指摘され、補正を求めらました。
 名古屋以外のみなさまのところでも、同様の取扱いなのでしょうか?担当登記官は、(一部ではコンビにでも取得できるような書類だから)必ずしも本人が所持しているとは限らないので相当でないのだとおっしゃいました。また、近いうちに法務省からそのような通知がなされるはずだともおっしゃっていましたが。
返信
KK
投稿日時: 2010-2-12 18:12
レベル5
登録日: 2005-4-11
/東京
投稿: 2258
Re: 本人確認情報の提供について
KJさん

東京法務局の幹部は「そういう登記所もあるようですね」と言っていました。資格者本人確認情報制度はあくまで登記官が相当と認めるかどうかという規定なので、言われると困りますよね。昔は印影でいじめにあったことがありました(権利で通って表示でだめと)。

登記官の心証で左右されるしくみである以上、不安定で使うのを躊躇する気持ちは理解できます(なのに責任は重い。運転免許証をビニールカードから出さなかっただけでアウトらしい)。かといって登記識別情報の有効確認も義務者は協力しないし、自動化ができないので通数が多いとできませんね。

司法書士が「立会」で「OK」を出しているのは正確には「登記に必要な書類の確認は登記識別情報の有効性を除いては確認できましたので、そのことを了解してもらって決済してください。もし有効ではない場合は、資格者本人確認でやりますが、登記官が認めるかどうかは、神のみぞ知るということになります」ということなんでしょうね。

スリルあふれる職業になりましたね。
返信
TT
投稿日時: 2010-2-12 18:49
レベル5
登録日: 2005-4-11
/愛知
投稿: 214
Re: 本人確認情報の提供について
KJ様
蛇足かもしれませんが・・・。
少なくとも名古屋管内については以前から印鑑証明書については認められていませんでした。
そして、住民票については限定的に認められていましたが、最近全国的に不相当とする旨なにやら事件があったみたいですよ。

[参考協議結果]
平成17年2月25日付け名古屋法務局・愛知県司法書士会改正不登法法司研究会協議事項並びに協議結果

規則第72条の第2項第3号書面の具体例は住民票の写しや印鑑証明書、外国人登録原票記載証明書と考えるが如何か。
  → 何れも規則第72条の第2項第3号の要件を満たしている。但し規則第72条と異なる規定により必要添付書類となっている印鑑証明書(義務者の印鑑証明書等)を流用することは出来ない。住民票の写しや外国人登録原票記載証明書などが他の規定を根拠に添付を要するものでなければ利用可能です。(協議結果)


追伸 事項別 不動産登記のQ&A200選のQ193にも関連参考文献がありますが、KJ様が法務局から聞いてきた通りの内容になっています。
返信
KJ
投稿日時: 2010-2-12 20:02
レベル3
登録日: 2005-4-11
/愛知
投稿: 45
Re: 本人確認情報の提供について
KKさん TTさん ご指導ありがとうございます。

 印鑑証明書については、どうせ登記義務者として添付を要求されているからということで理解できます。そうすると第3号に該当する書類って、イメージできないですけど一般的にどんな書類があるのでしょうか?
返信
TT
投稿日時: 2010-2-12 22:34
レベル5
登録日: 2005-4-11
所属名: /愛知
投稿: 214
Re: 本人確認情報の提供について
KJ様
恐らく一般の人が使えるものは「ない」のでは?
想定されるのは、官公庁に勤めている方の「社員証」とか・・・。

それにしても大問題ですね。
そもそも1号書面を持っていない人の2号書面としては、一般的に健康保険証と年金手帳ぐらいですからね。

基礎年金番号制度創設後は年金手帳に住所が記載されていませんから、これまで名古屋法務局では、住民票との「固め技」によって年金手帳を利用してきましたが、万一住民票を一切除外される運用がされた時は、確認書類が不足する事態になってしまいます。

つまるところはやはり、住基カードを無理やり作ってもらうしか方法がないでしょうか。
返信
AH
投稿日時: 2010-2-12 22:53
レベル5
登録日: 2005-4-11
/東京
投稿: 914
Re: 本人確認情報の提供について
何故、こんな大事な、根本的、根源的問題を司法書士界は座視するのでしょうか。
司法書士とは不思議な業界です。
ついに立ち会いは、賭博の世界に突入しました。
返信
SM
投稿日時: 2010-2-13 9:59
レベル4
登録日: 2005-4-11
/東京
投稿: 100
Re: 本人確認情報の提供について
こんにちは。
引用:

そうすると第3号に該当する書類って、イメージできないですけど一般的にどんな書類があるのでしょうか?

引用:

恐らく一般の人が使えるものは「ない」のでは?


宅地建物取引主任者証を提供したことがあります。
返信
KJ
投稿日時: 2010-2-13 14:19
レベル3
登録日: 2005-4-11
/愛知
投稿: 45
Re: 本人確認情報の提供について
SMさん 

 ありがとうございます。そのような資格を取得していて、かつ、その証書(免許?)を所持している場合が該当しそうですね。でも、その証書の原本は一般にあまり目にする機会が無いので、少し怖いです。私は宅地建物取引主任者証をちらっとしか見たことがありません。
 ところで、公証人の作成する証書は、場合によっては債務名義にもなることもあるのに、公証人の本人確認作業に疑問を感じるときがあります。
返信
KJ
投稿日時: 2010-2-13 18:26
レベル3
登録日: 2005-4-11
/愛知
投稿: 45
Re: 本人確認情報の提供について
 第3号書類に該当しそうなものとして、法務局で発行する「登記されていないことの証明書」はどうでしょうか。通常はこれにも、住所、氏名、生年月日が記載されています。
 しかし、本人から委任状をもらって取得する場合、代理人の身分証明書の提示は求められますが、被証明者の確認はなされていないように思いますけど。
 それを本人が所持していても、住民票と同じ程度の扱いをされるように予想されます。