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2009年6月16日 (火)

また、はしごをはずされたか?

MSN Japan

弁護士VS司法書士 債務整理の境界は 大阪高裁で訴訟加熱

2009.6.14 14:07 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090614/trl0906141412000-c.htm

 司法書士の「裁判外代理権」として法律で認められている「訴額140万円以内」の解釈をめぐり、弁護士と司法書士が民事訴訟で激しい闘いを繰り広げている。弁護士側に軍配を上げ、司法書士の「職域」を狭める判断を示した1審神戸地裁判決に対し、司法書士側が控訴。舞台が大阪高裁に移ったところ、大阪弁護士会は新たに弁護団を結成した。弁護士の大幅増員で仕事の奪い合いが現実化するなか、仕事の境界を争う訴訟は、弁護士会と司法書士会の代理戦争の様相を呈している。

 訴訟のきっかけは、神戸市内の司法書士事務所で勤務していた男性が平成19年1月、司法書士の債務整理の和解業務が裁判外代理権の範囲を逸脱しているとして神戸地方法務局に内部告発したことだった。

 男性は司法書士に迫られ退職したが、19年7月に解雇の無効を主張し、地位確認と損害賠償を求めて提訴。裁判では男性の通報が公益通報者保護法の対象になるかが争点になり、その前提として、司法書士の代理業務の適法性が争われることになった。

 法律では、司法書士に認められた代理業務の範囲は「訴訟の目的の価額が140万円を超えない」と定められている。ただ、この解釈をめぐっては弁護士会と司法書士会がかねてから対立。単純な債務整理の場合、「整理の対象になる全債権額」(債権額説)とする弁護士会に対し、司法書士会は「整理によって圧縮される債権額」(受益説)を主張し、実際に受益説に基づき業務を行っている。

 神戸地裁は昨年11月の判決で、司法書士がわざと圧縮額を140万円以内に収めて解決を図ろうとする可能性を指摘し、「債務者の利益が害される事態を招く危険がある」として受益説を否定。司法書士の代理業務が違法な非弁行為に当たると判断した。

 また、事務員の地位確認は認めなかったものの、慰謝料など170万円の支払いを命じたことから、司法書士側が控訴し、今年2月に大阪高裁で控訴審が開始された。

 司法書士の債務整理業務に非弁行為があるとの認識を強めていた大阪弁護士会がこの訴訟に着目。非弁問題などを扱っている弁護士5人が原告側に加わった。満村和宏・同会副会長は「1審判決が確定すれば、司法書士らの非弁行為を調査し、刑事告発などの厳しい対応も予定している」と話す。

 一方、司法書士側は元法務省民事局課長らが執筆した「注釈司法書士法」に受益説が掲載されていることを証拠提出し、「1審判決は債務整理現場に混乱を与える」と主張した。日本司法書士会連合会は裁判には直接関わっていないものの、「これまで司法書士が多重債務者の救済に大きな役割を果たしてきたことを忘れないでほしい」と実績を強調している

 法務省民事局もこの裁判を意識しつつ、「注釈司法書士法の内容は公式見解ではなく私見。法解釈について法務省としての見解はない」と中立の立場。原告と被告の関係者はこうした状況に「事務所内のトラブルがこんな風に注目されるとは」と困惑しているという。

 ■裁判外代理権 司法制度改革で平成15年4月から司法書士に簡易裁判所での訴訟代理権が認められた。認定試験に合格した司法書士は訴額140万円以下の民事訴訟に限り、法定外での和解交渉もできるようになった。ただ、認められた範囲外の代理業務を行えば、非弁行為を禁じた弁護士法72条違反とみなされ、2年以下の懲役または300万円以下の刑事罰を受ける。

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『注釈 司法書士法(第三版)』平成19年1月第三版刊
内閣官房内閣審議官 内閣官房司法制度改革推進室長 小 林 昭 彦
那覇地方・家庭裁判所沖縄支部判事 河 合 芳 光 著
http://www.teihan.co.jp/new/newtitle0701.htm
◆司法書士特別研修必読図書◆
-立案担当者により司法書士法を条文ごとに詳細に解説-

●本書は、「司法書士法」(昭和25年法律第197号)の逐条解説書です。司法書士法が、平成14年(2002年)の大改正により、その内容とともに体裁も一新されたのを機に、平成15年1月に初版を刊行しましたが、その後も司法書士法の改正が相次いだため、平成17年3月には、それらの改正についての解説を盛り込むなどして第2版を刊行しました。

◆(第三版)では◆
●「不動産登記法等の一部を改正する法律」(平成17年法律第29号)により司法書士法について、司法書士の業務範囲を拡充する-筆界特定手続の代理、仲裁手続の代理及び上訴の提起の代理の業務等を新たに認める-改正が行われ(平成18年1月20日施行)、また「会社法」(平成17年法律第86号)の施行に伴い「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成17年法律第87号)により司法書士法の規定についても多数の改正が行われました(平成18年5月1日施行)。
●本書は、第2版刊行後の法改正についての詳しい解説を盛り込むとともに、その法改正や現在の実務に合わせて、従前の記述部分も改訂して〔第三版〕を刊行しました。
●司法書士、裁判所関係者、資格試験受験者にとって必読の書!

これで受益説が負けたら、必読の書じゃなくて、読んではいけなくなるね!

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